如意輪観音とデジタル画

如意輪観音の石造物
如意輪観音(大正10年の石造物・Ibis paint)

アイビスペイントで描いてみた

今回の絵はパソコンからダウンロードした

「Ibis paint(アイビスペイント)」という

お絵かきソフトを利用して描いた絵である。

 

アナログ人間なので、絵はチューブから絞り出した絵の具で

筆で描くのが気持ちいい自分がいるのだ。

最近の絵はパソコンやスマホを通して

見ることが多いから、筆のタッチや、絵の質感などが

あまり感じられず、どうも均質に見えるところがある。

(画面が平らで滑らかだから、それはしょうがない)

だから反発心なのか、僕の絵はなぜかゴテゴテしたような

絵になることが多い。といっても、結局、撮った写真を

パソコンなど画面で見れば均質になるのだが。

本来は生の絵を見ていただきたいところではある…。

 

60を過ぎてソフトをいじるってことは、なかなか手ごわいものを感じる。

しかし使われていないサーフェス(Microsoft)パソコンがあったので、

Windowsで何か絵を描けるソフトはないものかと

探したら、この「Ibis paint」が見つかったのだ。

さっそくダウンロードして使ってみることにした。

(Macでは使えないらしい)

アイビスペイントのいいところ

使って見て、これはいいと思ったこと。

●寝そべって描ける

キャンバスに描くときは、ちゃんとイーゼルを立て

キャンバスに向かって、座って(または立って)描かなくては

ならないのだが、パソコンソフトは畳の上に置いて

寝そべってでも描けるのがとても楽ちんでいいのだ。

さらに、油絵(アクリル画)を描くときは、

絵の具や、絵溶き液、パレット、イーゼル、いろいろと道具を

用意しなくてはならないのだが、パソコンの場合、

ソフトと電子ペンがあれば、あとは何もいらないのだ。

すべてパソコンの中で済ませられるところが素晴らしい。

●修正があっと言う間

油絵(アクリル画)の場合は、間違えたら、その箇所が乾くのを

待って上にかぶせて描く(水彩画はできない)のだが、

パソコンソフトは、「元に戻る」ボタンを押せば

一瞬に戻せるということ。しかも、一つ前の段階だけでなく

だいぶ前のところまで逆回しのように戻せるということだ。

これはデジタルでなければできないことだ。

間違えれば、ワンタッチでもとに戻せるところが素晴らしい。

●レイヤーを使える。

レイヤーとは何ぞ? と最初思ったが、これは

1枚描いた上に、さらに透明な板をかぶせて描くことが

できるという技。しかも、1枚だけではなく

何段も重ねて描くことができるのだ。

これはパソコンでないと出来ないことだろう。

油絵で言えば、最初に下地をつくる。

その上に第1段階の色を乗せ、乾いたら

次の色を乗せている。さらに乾いたら

次の色へ。ということだが、乾くのを待って

描かなくてはならないのでとても時間がかかる。

それが、このレイヤーを使えば、

1枚目に下地、その上にレイヤーを載せて輪郭を描く、

さらにその上に載せて、色をぬる。

さらにその上に載せて、ハイライトを入れるなど。

乾く時間を待つことなく、上に重ねられ、

さらに、レイヤーの上下も入れ替えできるので

とても都合がいいのだ。

例えば、空を描いて、その上に電線を描く場合、

レイヤーを一枚追加して、そこに電線を描けば

色が混ざることなく、細かい線も引けるということだ。

しかも、各レイヤーごと何度も描き直すこともできるので

電線を引き間違えても、すぐに修正して描き加えれば

それで用が済んでしまう。

これは素晴らしい技ではないか。

 

こういうソフトを今の若い人達は

当たり前のように使いこなしているのだな、と思うと

あたらめて時代は変わったのだと思うのであった。

 

ということで、遅ればせながら時代に追いつこうと

慣れない私が描いたのが今回の画である。

初めてのデジタル画。

色覚異常なので、まずはモノクロ画から。

最初に輪郭を描き、

レイヤーを足して、エアブラシ(そういう筆がいろいろある)で

影をつけ完成。

レイヤー3枚くらいか。

まあ、最初だからこんなところかな。

鉾田市の愛宕神社

今回の題材は、今年(2023年)の正月に

茨城県の大洗方面に行ったときに寄った

「愛宕神社」の境内にあった「如意輪観音像」である。

勝下新田愛宕神社の鳥居

面白いことに神社回りをしていると

その地方独特の個性のように感じることがある。

ここ茨城県の鉾田市近辺、いくつか神社を回っていると

「如意輪観音」の石造物をやたらと見かけるのだ。

半跏思惟像が多い中、ここでは

おおっぴらにおっぱいをあげている女性像がいくつ見られるのだ。

同じ境内にあった「如意輪観音像」。台座に「女人中」の文字が見える。
昭和35年3月、石工:マイノ の彫りがあり。

ネットで調べてみると、どうやら

この近辺は「女人中※」っといって、

※「中」は仲間のこと。村や集落ごとに多くの

女性集団が存在した。

女性たちが集まり、地域の安寧と家内安全、安産を真言を

唱え祈る行事があったようなのだ。

それで、このような石像も多いのかなと思う。

境内には半跏思惟の如意輪観音もある。
元禄11年(1698)

 亨保8年(1723)3月4日

昔は、出産する時、母子が命を落とすことも

あたりまえのようにあった。

どうかご無事に出産を、というような思いで

このような像が立てられたのだろう。

願いのこもった石造物なのだ。

愛宕神社の拝殿面白いことに、ここの「愛宕神社」御神木の根が張って、拝殿までの階段が持ち上げられ、少々傾いている。両脇には岡崎現代型(平成5年5月、(㈲)かみいし石材工業)の狛犬さんがいました。

 

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題材の場所: