ギプスを嵌めたお犬さん

ギプスを嵌めたお犬さま
ギプスを嵌めたお犬さま(サムホール・キャンバス・ミクストメディア)

刈穂稲荷神社のお犬さま

2023年の12月の半ば、

山梨にある狛犬を見に行くため

僕は車で出かけた。

山梨県の形

以前から山梨県にはあちこちに

面白い狛犬があることは知っていた。

日本一情けない狛犬がいるという

柳原神社

はるか山奥にある神聖な雰囲気の山神社の狛犬。

この二柱だけでも、十分に味わい深いのだが、

その件は、別の機会に記すとして

その日、いろいろを回って夕方近くに最後に訪れたのが、

刈穂稲荷神社(かりほいなりじんじゃ)だった。

 

南アルプス市吉田のぶどう畑の中、

細い道沿いにあった。

(この道は、軽自動車じゃないと入れないかも)

Google Mapsのクチコミを見ても、1件しかない

かなりマイナーな神社だ。

刈穂稲荷神社
刈穂稲荷神社
(左が石尊宮、中が三峰神社、右が金毘羅様)

神社というよりは、祠だ。

なぜ、このような場所を知っているかというと

僕のツイッター(=X)は、狛犬関係のフォロワーが

たくさんいるので、その関係のツイート(=ポスト)が

流れてくるのだ。だれのツイートと忘れたが

あるときその石造物を見て気になり、場所を確認し

Google Mapsに印をつけていたわけだ。

 

3つの祠が並んでおり、その祠を守るかのように

両脇に狛犬がいた。

いや、これは狛犬というより

お犬さまなのだ。

おおもとと言われる秩父の三峰神社あたりから、

界隈にかけて

狼の信仰が広がっており、

山梨にかけても狼をかたどった像が

多く作られているのだ。

今回、見て回った山梨は

なぜか可愛らしい狼像のが多いのだ。

刈穂稲荷神社のお犬さまを描く

残念ながら、右側に置かれている

お犬さまは、口元が欠けていた。

刈穂稲荷神社、右斜前から
刈穂稲荷神社、右斜前から

左側のお犬さまは、お顔は大丈夫だが、

両脚が欠損している。

右側の像も同じように脚部分は欠損しおり

どちらともパイプのようなもので補修されていたのだ。

もう少し補修の方法は無いのだろうか、と

思ってしまうが、予算も掛けられなかったのだろう。

考えあぐねて補修したのが、水道管のような金属。

ちょうど脚の太さが同じだったのかもしれない。

まるでギプスを嵌めたような感じ。

左側のお犬さま
左側のお犬さま

なんだか、けんめいに脚を支えて、

顔を少し傾け、歯をむき出して

吠えようかとしているさま、

神使いの使命を果たしている姿、

とても健気で愛しいではないか…。

 

その思いを、描き損じたキャンバスに

新たにモデリングペーストを塗り

細筆で描き込んでいった。

 

お犬さん、脚は痛くないの?

 

へいちゃらさ、こうして

吠えているのが僕はうれしんだ。

描いてくれてありがとう。

 

頭の中で語りかけて

くるようだった。

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