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古尾谷八幡神社・吽形狛犬

古尾谷八幡神社・吽形狛犬
古尾谷八幡神社・吽形狛犬

古尾谷八幡神社(ふるおやはちまんじんじゃ)

Googleマップを

眺めるのが好きだ。

適当な箇所をクリックし

拡大するといろいろと

情報が出てくる。

昔から地図を眺めるのは好きだったが

Googleマップは、場所以外に

その場所の情報、訪れた人の

写真やコメントまである。

つくづく便利になったなあ、と思う。

 

神社巡りの好きな僕は

「神社」と検索しては

鳥居マークの箇所を見て

気になるところを拡大して

マップ上を散策をしている。

 

川越あたりは行ったなあ、

この近辺はどうだろう……。

と見ていると荒川沿いに

神社がある。

クリックすると神社情報が

表れる。

 

神社の写真も

いろいろ載っているので

たいへん参考になる。

 

で、この古尾谷八幡神社

見つけて写真を見ていると

狛犬がいるのが分かった。

 

台の上に乗った大きな

岡崎型っぽい、ちょっと

かわった狛犬がいた。

そして、その前に石でできた

古風な狛犬がいたのに気づいた。

江戸時代のものか……。

 

拡大して見ると、

とてもいい顔している。

だが、もっと近くで

見たくなった。

 

 

それで、ある日僕は

朝早く車で出かけた。

 

古尾谷八幡神社の

最寄りの駅は、川越線・南古谷駅であるが、

歩くと40分ぐらいはかかるので

車で行くことにした。

 

古尾谷八幡神社・鳥居
古尾谷八幡神社の鳥居前

着くと、鳥居が3つあり、

参道を通ると

目的の狛犬がいた。

 

とてもしっかりした顔。

重厚さもある。

いい顔してるねぇ、

思わず狛犬の頬を撫でる。

古尾谷八幡神社・正面
古尾谷八幡神社・正面

古尾谷八幡神社は

地域に愛されているだろう

整備された大きな神社だった。

朝早く来たので、

ひとは誰もいなかった。

狛犬に会えてありがとう、

参拝して次の神社へと向かった。

 

古尾谷八幡神社の狛犬を描く

帰って、この狛犬を

描くことに挑戦した。

 

最初にキャンバスに

ざっくりと狛犬の線を描き

一気に全体を青いイメージで描いた。

 

なぜか、この狛犬には

そのような色になった。

 

前脚を揃えて出し、

どっしりと構えたカラダ。

その上に、

鰓の張った、

ガッチリした顎の顔。

ちょっと小首を傾げて

参拝者を見詰める

思慮深げなマナコ。

 

見ていると、なんだか、

哲学者のような趣きである。

「人生とは何だ?」

そう問いかけているようなのだ。

 

この狛犬を実際描いていて

たいへん苦労した。

最初に、グリッドを描いて

しっかりデッサンして描けば

よかったのかも知れないが、

早く描きたい僕は、

勢いでザクッザクッと

描きはじめたのだ。

 

ところが、全体を描きあげて

見てみるとバランスが

微妙に狂っている。

 

絵の狛犬が思慮深げに言う。

「自分のイメージと

現実がいかに違うか、

わかるだろう」

そうなのだ。

あまりにも違う……。

「よーく、見詰めることだ」

んんん。

そんなことを言われた気がした。

 

それで、

何度も何度も描き直した。

 

顎の向きが違うなあ。

手の位置が違うなあ。

尾の位置が違うなあ。

塗りつぶしては

描き加え、

塗りつぶしては

描き加え、

何度、塗りつぶしたことか。

100回ぐらいは繰り返しただろうか。

 

「修行だ……」

「まだ、視点がブレている」

狛犬は哲学者のように言う。

 

狛犬を描くとき、

僕はいつの間にか

対話をしながら

描いているのだった。

 

やっと最近、

狛犬からのクレームが

少なくなってはきた。

 

今回はひじょうに

思索と試作を求めらた

絵だった。

 

狛犬は思慮深げに言う。

「俺はここにじっと

座って見守っている。

このぐらい年月を積めば

少しは味がでるかもな」

いつまで積めば

いいのだろうか……。

 

狛犬は黙っているが

鋭いマナコで

僕を見詰めている。

 


題材の場所: