蛇窪神社・吽形狛犬

蛇窪神社・吽形狛犬
蛇窪神社・吽形狛犬

蛇窪神社(へびくぼじんじゃ)

品川区中延方面へ一度も行ったことが

なかったので、

僕は2019年6月に蛇窪神社に出かけた。

 

朝早く行けば、十分参拝できるであろうと

思っていたが、

神社に近づいてみると、なにやら騒がしい。

 

人の行列が見える。

しかも、交通整理の人もいた。

 

な、なんだ。

その人の列は神社の中から

続いていた。

 

交通整理のおじさんに聞いてみた。

「今日はつちのとみの日ですからね」

「つちのとみ?」

不敬なる僕は意味を解していなかった。

 

あとで、わかったことだが、

「己巳(つちのとみ)」は60日に1回

しか訪れない。年に数回だ。

そして、その日にお参りすると

金運に授かれるというのだ。

 

神社参りにしか、関心なかった僕は

そういう日とは知らずに来たのだ。

2019年の6月1日のことである。

 

境内に入ると列は続いていた。

境内にはイメージキャラクター

「くぼっち」なるものもいた。

「くぼっち」
イメージキャラクター「くぼっち」です。

人を整理している方に聞くと

参拝まで1時間は十分にかかるでしょう、

ということだった。

 

ということで、

参拝している脇を通って

拝殿近くに行き、

脇からお祈りすることにした。

蛇窪神社・拝殿前
蛇窪神社・拝殿前の人の列。

 

奥にある蛇の御神体も

行くのを諦めた。

 

僕は、人の混んでいるところは

苦手なのだ。

 

また、今度ちゃんと拝みに来よう、

と思った。

 

そして、帰りがけ、

鳥居近くに江戸尾流れの狛犬が

いるのに気がついた。

 

なんだか、とっても味のある

雰囲気の狛犬だ。

 

多くの人がいて落ち着いて

見られず、僕は写真を

撮って、そそくさと次の神社へ

向かったのだ。

 

蛇窪神社・吽形狛犬を描く

この絵を描こうと思ったのは

家に帰って写真を見ていたときだ。

 

思わず狛犬の表情に

惹きつけられた。

 

眉毛の下にのぞく

人を見透かすような眼差し。

口元の渦を巻いた髭。

閉じた口からのぞく牙。

見れば見るほど惹き付けられる。

 

いままで体全体を描くことが

多かったが、

この狛犬は近くで見るほど

魅力が出てくる。

 

キャンバスを前に

僕はもっと狛犬に接近したかった。

そして、

顔をメインに描いていこうと思った。

 

流れるような髭や髪を

モデリングペーストで

形づくった。

 

乾いたあと、アクリルを

載せていった。

 

描いてはとまり、

描いてはとまり、

数日かかった。

 

どうだろう、

狛犬くん?

絵に向かって聞く。

 

「ふっ、まだまだだな。

これで俺を表現できたと思ってる?」

 

狛犬は鋭い眼差しを向けてきた。

 

狛犬情報:大正五年(1916年)十一月奉納 石工・芝二本榎 石福

 

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題材の場所:

東京都品川区双葉4-4-12