黄葉拝殿

黄葉拝殿
黄葉拝殿(F6・キャンバス・ミクストメディア)

黄葉と色弱

今回の「黄葉拝殿」の絵は、2021年の12月初旬、

埼玉県の南埼玉郡宮代町を回っていたときに

訪れた「宇宮神社(うのみやじんじゃ)」

元にした絵である。

 

宇宮神社のことは後で記すが、

今回、黄葉の風景を描いたのは訳がある。

 

端的に言って、

色覚異常者のコウヨウを描きたかったのだ。

 

色覚異常者にとって、多くの方が

秋になって言う

「紅葉ってきれいね」という言葉が

ピンとこない。

というのも、赤い色が黒っぽく見え、

緑の中にあっても判然としないからだ。

(色弱でもいろいろタイプ※があるので、

これは僕の感覚としての話)

 ※色弱者のタイプとしては

 「1(P)型2色覚」「2(D)型色覚」「3(T)型色覚」があると言われている。

紅葉でも、黄葉。

黄色はよく分かる。

(一般に色覚異常者にとっては、黄色と青は見やすい色である)

だから、銀杏の色づく黄色い葉を見たほうが

はっきり秋ということを知れ、

実際、華やかに見えて

色覚異常者には心が華やぐのだ。

おそらく色弱者の多くは

紅葉(赤く色づく葉)については、

そんなに綺麗とは思っていないはずである。

友人との会話の中で、

「あの紅葉、きれいだね」と聞かれたら

そうかなと思っていても

「そうだね」と答えている方が多いとは思う。

なぜ、「そうかな? とくにきれいとは思わないけど」と

答えないのかは、色覚異常であることを自ら言いたくないし、

言えば、言ったで、「え、いったい、どう見えてるの?」とか

いろいろ根掘り葉掘り聞かれて、説明が面倒なことが多いからだ。

 

だから、紅葉のコウヨウではなく

色覚異常者が見やすい黄葉の絵を描きたかった。

 

実際、僕は黄葉の絵は描けても、

紅葉の絵をうまく描く自信はない。

描いたとしても、恐らく頭の中で

思考した絵であり、

描いていても、これが美しいのだろうか…と思いながら描くので

思いの伝わらない絵になるのではないかと思う。

 

焼肉がよく焼けたか分からない僕には

紅葉の絵は、非常に難しい題材になってしまうのだ。

(色弱者は、焼肉が焼けたかどうかも分かりにくいのです)

 

と言って、この黄葉の絵が

うまく描けたかどうかは分からない。

黄色はよく見えたとしても

他の部分の色がよく分からないので

ブラウンやブラック、パープルを

使い、ああだこうだと試行錯誤しながら

モデリングペーストもまぜて

そして、盛り過ぎたと思っては

削り、また色を重ね、

さらに、また彫刻刀で削ったり

試行錯誤の絵となってしまうのだ。

結局、自分の中でこれで

いいという決断ができたところで、

筆を置くのである。

今回は赤系統の絵の具は

一切使うことはなかった。

 

色覚異常者の秋(と言って実際は冬だが)

をここにしたため

キャンバスに綴じ込めておこうと思ったのだ。

一度は、そういう絵を描いておこうと思ったのだ。

 

宇宮神社と拝殿

2021年の12月、夜、久喜市の

綜合運動公園で車中泊をした僕は

朝早くから神社を駆け巡った。

 

久喜市は、旧日光街道があったせいか

狛犬の出現率は高い。

宇宮神社の鳥居

ここ宇宮神社は延亨5年(1748)建立の

古い狛犬が拝殿両脇に

離れて置かれてあった。

渋い狛犬さんたちである。
宇宮神社の拝殿
宇宮神社の拝殿

宇宮神社由緒

旧和戸村の鎮守で、創建についてはあきらかでない。「新編武蔵野風土記稿」によると文明16年(1484)再建とあり。社地に元享3年(1313)の古碑あり。これを勧請の年代か不明。古くは烏戸宮明神と呼んだ。明治6年に村社となった。

祭神:天穂日命

さらに絵画をつきつめていきたい。

神社に参拝し、願うのであった。

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