神田明神(かんだみょうじん)
御茶ノ水駅を降りて10分もすると
神田明神に着く。
参拝に行った二回とも
多くの人で賑わっていた。
人気の神社だ。
ここには獅子山の狛犬もいるが、
題材にしたのは拝殿両脇に
座っている左側・吽形の狛犬。
白っぽいがっちりしたカラダの
大きな狛犬が
正面を向いている。
胸をはった筋肉質の
護国系の狛犬だ。
大きな鼻の下には
への字にくいしばった口。
盛り上がった太い眉毛の下に
遠くを見つめた眼。
円丈さんの本によると
「黒目が上がり、
やや淋しげでものうげ、
どこまでも遠くを見つめている
ような目指しがとてもいい」
と書いている。
たしかに、
淋しげでものうげ。
哀愁を感じ、
眺めていると崇高な気分になる。
いい狛犬だ。
狛犬情報:
台座には「奉献 昭和八年五月(1933)」
「原型 池田勇八」「石材 酒井八右衛門」「石匠 野村保太郎」
と記されている。
崇高なイメージということで
紫を土台にしてキャンバスに
向かった。
色覚異常者は、
紫と青の 区別がつけづらい。
紫=崇高 という数式から
絵の具を溶いていく。
キャンバスに乗せた色は
青っぽいが恐らく紫だろう。
そんな、手探りの意識の中で
作業をすすめていく。
白や黄色や茶、
塗り重ね
キャンバス上で混色される。
いったいこの色は何色なんだ。
描いている自分も分からない。
泥水の中を這いずり回って
手探りで睡蓮の花を探すように。
いつになったら、
キレイな花を見つけられるのだろう。
描き上げた
絵の中の狛犬は
黙ったまま
ものうげに、
彼方を見つめている。
(神田明神・吽形狛犬 P10・キャンバス・アクリル画)
題材の場所: