天祖神明神社の狛犬
いくつも狛犬を見てくると似たような狛犬さんは
忘れ去られていく。だが、数年たっても
記憶に残るものがある。
今回は、2020年の2月に足立区を回っていたとき
訪れた「天祖神明神社」(てんそしんめいじんじゃ)の狛犬だ。
数年前だというのに、その姿形が勇ましく
彫りが素晴らしくて記憶に残っているのだ。
谷塚駅近くの粂森稲荷神社を参拝して
(この神社の中のお稲荷さんは以前、絵に描いた)
八潮市あたりの神社をレンタサイクルで回っていた。
いろいろ回って、垳川(がけがわ)という川を渡って
足立区に入ったところに神社があった。
神明鳥居をくぐり拝殿前に古風な狛犬が立っていたのだ。
![天祖神明神社の参道](https://shi9ga3.com/wp-content/uploads/2023/12/IMG_2003-768x1024.jpg)
近づくととてもカッコいい勇壮な狛犬さんがいた。
![天祖神明神社の拝殿](https://shi9ga3.com/wp-content/uploads/2023/12/IMG_1989-1024x768.jpg)
台座を調べると何やら普通の楷書の文字と違って
篆書風な文字で彫り込まれていた。
![台座の文字](https://shi9ga3.com/wp-content/uploads/2023/12/Art170.jpg)
解読すると、
天保7丙申4月、石工 戸ヶ崎 林幸右衛門
1836年の狛犬だ。このような凝った字を彫り込むとは
狛犬もかなり力を入れた作品だと分かる。
![吽形狛犬](https://shi9ga3.com/wp-content/uploads/2023/12/IMG_1968-min-225x300.jpg)
吽形は左頭部部分が少し欠けているが、
阿形は保存状態良く、少し上を見上げ
たたずまいがカッコいいのだ。
![阿形狛犬](https://shi9ga3.com/wp-content/uploads/2023/12/IMG_1976-225x300.jpg)
それで今年の夏を終えた頃、にサムホールに描いてみようと
描き始めた。
多くは参道を通る人達を眺め
睨みを利かしている狛犬なのだが、
ここ天祖の狛犬さんは、
少し彼方の空を見つめ
この先の行く末を考えているかのようでもあるのだ。
![1回描き終えた時の絵](https://shi9ga3.com/wp-content/uploads/2023/12/phonto-min-207x300.jpg)
一度、筆を下ろして完成させたつもりであったが
しばらく経つと、もう少し味が足りないな…
そんなこんなで、すべてが乾ききったあとで
また、筆を取り出しようやく完成させた。
やはり、時間を置くと
客観的に見れ、もの足りないところが見え
再加筆が始まるのである。
乾いたあとの加筆は、下地と
加筆の層が重なりあって、
複雑な色味を感じ、僕としては
とても心地よくなるのだ。
どうでしょう? 狛犬さん。
何か意志めいた瞳の輝きを
僕に見せるのであった。
![トップ画像へ](https://shi9ga3.com/wp-content/uploads/2020/06/Art035.png)
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