八雲神社の敷石
今回、絵にした題材は、
今年(2021年)4月、岩槻区近辺を
自転車で散策していたときに
参拝した「金重(かねしげ)八雲神社」の境内である。
住宅地の中にちょっと小高くなって
緑の繁った場所がある。
遠くから来ると「このあたりかな」と
いうところに金重八雲神社が鎮座していた。
毎回、神社回りをしていると
住宅街を回っていて
ぽつんと緑に覆われているところや
大きな木々の目立つところなどに
だいたい間違いなく神社があることは
分かってきた。
今回は、その坂をのぼった
場所に神社の入り口があった。
赤い両部鳥居、扁額は年季の
入ったもので微かに「八雲神社」と読めた。
鳥居をくぐるとふだんは
あまり見ない大きな平たい
石畳みが拝殿まで
すこし蛇行して連なっていた。
拝殿は住宅のようなシンプルな
つくりで味わいというものはない。
屋根の上を見上げると
鬼瓦のようなものがぽつんと
置かれていた。
参拝をすませ、
振り返り鳥居のほうを見つめた。
通ってきた石畳みの参道が
薄暗い境内から
明るい先の鳥居へと続いていた。
なんだか、この風景が
一瞬、自分の人生を表しているのではないか…
そのような思いになった。
「参道」は「産道」に通じる。
暗い靄のような世界から、
新たなる明るい世界へ
あの門をくぐったら
まぶしい世界へ行けるのだ……。
拝殿でお参りするのは
神の元に帰ってきたこと。
そして新たなる使命をもって
新たなる世界へ旅立つ。
何度も何度も繰り返されていく…
そのような輪廻的イメージが
頭の中をよぎった。
賽銭箱の近くでしゃがみこみ
眼の前から連なる石畳みを順に眺め
遠くの明かり中で輝く鳥居の風景を見ながら
「素敵だな」と呟いた。
僕はこの光景を描いてみたいと思った。
小木曽誠先生の鬼講評
前回、「大鳥狛犬」でも
画家・小木曽誠先生のYou Tubeにて
鬼講評(第58回)をしていただいたが
今回もメールで送って講評していただいた。
第74回の鬼講評である。
凸凹のあるマチエールは
すごく綺麗と言っていただけた。
ただ、せっかくモデペ(=モデリングペーストのこと)を
使っているんだから、
薄く溶いた絵の具を垂らしたり
削ったりいろいろと
チャレンジしてみてもいいのでは、と言われた。
たしかにそうである。
まだまだ修業が必要だ。
さらなる深みを目指して
描いていきたいと思う。
小木曽先生、ありがとうございました。
小木曽先生のYou Tube
題材の場所: