境内の太陽

境内の太陽
境内の太陽

ここに掲げた絵は、アクリルを買って

初めて描いた絵です。

2019年6月のことです。

「境内の太陽」

神社巡りを始めて1000社参拝をすませた頃、

氏神様を参拝したときに声がした。

「今のあなたでいいのですか?」

 

拝殿の奥を見つめると祭壇の上に

鏡が置かれていた。静かな拝殿。

ほかに誰もいない。

境内を振り返っても誰もいない。

ただ、境内を見上げると

微笑むように太陽が輝いていた。

 

「今のあなたでいい?」

仕事はそれなりに順調にいっている。

太陽を見つめると目が眩んだ。

 

過去の記憶が脳裏に駆け巡る。

 

熱を出して保育園を休み

家のなかで紙に向かってえんぴつを走らせ、

夢中になって絵を描いていた自分。

「そんなに描くことが好きなの?

熱があるのにずっと絵を描いているわね」

母の声が聞こえた。

 

小学3年生。図工で絵を描いていたとき

後ろから先生が来て

「ここはこの色だよね」

描いていた絵の上から先生の筆がくわえられた。

困惑している自分。

 

絵を描くこと忘れるために

ギターを引き始めた高校時代。

 

色に関係ない仕事をやっと

見つけ就職。

 

27歳のとき絵が再び描きたくなり、

そのとき始めて油絵を描く。

 

だが、しだいに仕事が忙しくなり

事業を興し、気づいたら

いつの間にか還暦。

 

「このままでいいの?」

太陽が微笑む。

 

やっぱり、そう。

描こう!

色神異常でもいいじゃないか。

描きたい絵を描いていこう。

 

そのときに微笑んでいた「境内の太陽」を

描いた絵である。

太陽は天照大御神でもある。

 

急いで描きたかったので

アクリル絵の具を買って

1時間で描いた。

還暦過ぎに描いた初めてのアクリル画である。

 

●キャンバスボードF4 2019、6月