青渭神社(あおいじんじゃ)
2019年の夏、調布駅を降りると
レンタサイクルを借りて
僕はあちこちと神社まわりをした。
今回の絵の題材の場所は、
午後4時近くに着いた
「青渭(あおい)神社」の風景である。
神代植物公園の東側にある
青渭神社の入り口近くには
大きな欅の木が勢いよく茂っていた。
幹の真ん中あたりにハートの空洞があるので
縁結びの木として有名らしい。
しばらくその姿を眺めて
圧倒感を味わった。
(僕はおおきな木を眺めることも好きだ。
大地に根をおろし、同じ場所に
長い年月をかけて生きていることだけで凄いと思う。
人々の営み、歴史を黙って見ているのだろう。
そこはかとないエネルギーを感じて、
しばらくボーッと木の下で眺めていることがある。)
参道を進み、鳥居があり、
さらに先の階段を登った。
階段を登りきったところには
すぐ両脇に、内藤慶雲(初期タイプ)の
狛犬が台の上に鎮座していた。
石工:内藤留五郎 明治13年の作
耳が両脇にはねたパピヨンタイプである。
内藤留五郎の彫った、子獅子は
目がまんまるで鼻がちょこんとあって
両耳が垂れていて可愛いのである。
この内藤狛犬を見て
彼方に見える拝殿を目にした風景が
今回の絵の題材である。
右側に大きな欅の御神木が立ち
ちょうど僕が見たとき
木の裏側に太陽が隠れ
時折、木の幹から顔をのぞかせ
その風景が神々しいほどに見えたのだ。
純粋に、この風景を
描きたい、そう思った。
青渭神社の風景を描く
今回は、モデリングペーストを
キャンバスに塗って乾いたあとに
油絵の具を置いていった。
御神木の背後からチラチラと
のぞかせる太陽の輝きと
真ん中にデンと建っている拝殿の姿が
神々しく、その印象を
表現したく描いていった。
誰もいない静かな午後の雰囲気が
出ているだろうか。
見ていただいた方、ありがとうございます。
題材の場所:青渭神社