天神社の月

天神社の月
天神社の月

天神社(てんじんしゃ)へ行く

仕事の用事で夜、

西東京市に来た。

書類の受け渡しのために来たのだが

すぐ近くに天神社(西東京市北町)

あったので寄ってみた。

 

西武池袋線・保谷駅からは

北口を降りて

歩いて15・6分はあろうかという

少し離れた住宅街の中にある。

 

鳥居近くに来ると

街灯と境内の電灯で

あるていど神社は明るさが保たれていた。

 

鳥居をくぐると

すぐに装飾された台座に乗った

狛犬が両脇に見える。

天神社・吽形狛犬
天神社の吽形狛犬。夜なのでほとんど影。

かまえ獅子タイプの

重厚な狛犬である。

 

今まで見たかまえ獅子とは

だいぶ異なっているタイプだ。

彫りを見ると、ひじょうに手が込んでいた。

建立年
明治28年10月吉日(1895)
石 工
北豊嶋郡元関村 石工 田中酒造蔵
北足立郡志木町 彫工 伊藤寅吉富士光
建方工夫 當所 鳶連中
奉 納
下保谷 氏子中
発起・世話人  14名(境内の「石灯籠獅子寄附連名」の碑に記載有り)
寄付者     129名(        〃            )

手が込んでいるので

絵にするには、かなり難しい題材だ。

夜だったので写真を

収めるだけにした。

 

拝殿前は静かで、左右にある

電灯の明かりで照らされていた。

夜の天神社・拝殿前
夜の天神社・拝殿前

参拝を終え、

参道を引き返すと

鳥居の上に月が輝いているのが見えた。

しばらくその情景を

眺めていた。

 

鳥居と月を描く

天神社の鳥居の上に

輝く月になぜか見とれたので

その光景を描いてみた。

 

モデリングペーストと

アクリルを混ぜて

一気に描きこんでいった。

2時間ぐらいで描き終えたが

しばらくそのままにしていた。

数ヶ月後に絵を取り出して

なんか色が違うなあと

手を加えた。

 

最初のときは、グリーンを

いっさい使わなったが、

なにか味わいが違うなあ、

ということで使ってみることにした。

「味わい」が違う、それは

味噌汁でいえば出汁のようなものなのか、

その出汁がグリーンではないだろうか…。

などと思いながら塗り重ねていった。

 

色覚異常者はグリーンを使うときは

とても慎重になる。

ひじょうに分かりづらい色だからだ。

夜の暗闇で色を見ると

一般の人は分かりづらいと思うが、

恐らくそのような感じで見える、

と言えばいいのだろうか。

 

最後に鳥居の角度や位置を

少し修正を加え、

ざっくりと塗り込んだ。

 

息子に「これ月に見える?」

と聞いたら、

朝の月か、昼間かと思ったと

言っていた。

 

実際はもっと暗く見えたのだが

もっと明るくしたかったのだ。

タイトルは「天神社の月」でいいかな、と

聞いたら

「月と言えば月だよ」

と。

描いた人が、そう思えばそうなのだ。

 

 

絵は写真と違って、

自分の色の選択で

いくらでも好きなように

色を使える。

筆の塗り方やタッチでも

いくらでも好きなように

塗ることができる。

 

そこが、

とても素晴らしいことで

逆に

とても難しいところだ。

「自由の不自由」さと

いうことなのか…。

 

僕は月に照らされた

天神社の鳥居を描きたかった。

そのやさしい光に照らされた

風景に見とれたのだ。

(P10・キャンバス・アクリル画)

 

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取材の場所: