練馬のオリオン・神社について

3つ星イメージ
3つ星イメージイラスト

練馬のオリオン。

東京都の練馬区にオリオン座

あるのをご存知でしょうか?

 

オリオン座って言っても

映画館や店名ではない。

あの冬の夜空に輝くオリオン座、

星座のことだ。

冬の空を見上げると、その独特の形状で、

多くの方も記憶されていると思う。

ギリシヤ神話で描かれる絵は、

左手に布を垂らして

右手に棍棒を振り上げた男のイメージ。

オリオン座

ベルトのあたりが、

3つ星にあたる。

 

実際、冬の夜空を眺めていれば

この並んだ3つ星は

すぐに見つけることができるだろう。

オリオン座はほんと

目に止まりやすい分かりやすい星座なのだ。

オリオン座
四角形の中に3つ星が並ぶオリオン座。

ところで、なぜ、

ここで僕がオリオン座の話を

したのかというと

練馬区を自転車で回っていたとき

奇妙な配列の神社を見つけたからだ。

3つに並ぶ神社

2018年の6月の頃だった。

練馬駅から南下して

中村南町に「田中稲荷神社」を見つけた。

住宅街に囲まれた神社は木々が生い茂り、暗く、奥に小さな祠が建っていた。

住宅街の一角木々が生い茂り

鳥居が見えた。参道は北西の方向に

伸びていた。

その日はカラスが数匹泣き叫んでいたので

木の上から襲われそうな気がして

そそくさに参拝してすぐに

立ち去った。

田中稲荷神社の拝殿
薄暗い田中稲荷神社の境内。稲荷像が壊れたのか、代わりにミニ稲荷が古い台座の上にのっていた。

それから、道をくねくね曲がって

すぐ近くの「中村八幡神社」に向かった。

中村八幡神社
中村八幡神社の鳥居

練馬区ではかなり古い建造物いわれる社があり

境内には眼の前まで毛が覆った

渋い江戸尾流れの狛犬もいる。

中村八幡神社の狛犬
中村八幡神社の狛犬

ここを参拝して、さらに

近くの神社に向かったのだが、

今度も道をくねくね曲がった

すぐにたどり着いた。

「御嶽神社(おんたけじんじゃ)」である。

御嶽神社
御嶽神社の鳥居
御嶽神社の御神木
御嶽神社の御神木。途中から三叉に分かれたヒノキが立つ。

実は、これらの神社

綺麗に北西の方向に一直線に並んでいるのである。

下図、Google Mapsを参照。

道路はタテヨコ、つまり南北、東西と流れる中、

この斜めの配置はいったい何なんだろう。

不思議に思った。

僕は中学時代に天文クラブにいたので

すぐにオリオン座の3つ星を連想した。

ということは、

この周りに3つ星を囲む4つの神社はあるのだろうか?

そこでスマホを取り出し

Google Mapsを見てみた。

すると、

南のほうに、

大きな鷺宮八幡神社があるではないか。

これが、3つ星を囲む星のひとつか?

じゃ、他の位置には神社はあるのだろうか?

興味が湧いて実際、自転車で探ってみることにした。

鷺宮八幡神社・吽形狛犬

3つ星を囲む4つの神社

3つ星囲む4つの神社、

ひとつが鷺宮八幡神社だとして

他の3箇所に実際、神社はあるのだろうか?

むりやり感がいなめないが、

もしあったら面白いではないか。

南の「鷺宮八幡神社」が1つだとすると

横配置ですいません。上が北になるように配置するとこのようになります。

3つ星に並んだ神社の左に「北原神社」がある。

北原神社
住宅街の中に建つ北原神社。

右の下は「富士稲荷神社」だ。

富士稲荷神社
練馬区立富士稲荷神公園の中に建つ「富士稲荷神社」。

すると、右上は?

名前がない…

自転車で漕いでいくと、そこは

「矢板稲荷神社」という

小さな神社があった。

矢板稲荷神社
十字路の角に建つ「矢板稲荷神社」。小さな社である。

ちゃんと四角の位置に神社があるではないか。

うまく、はまって一人悦に入った。

これは何か意味あるのか?

人間とは悲しい生き物、

意味のないものをやたら何かと意味をつけたがる。

たぶん、昔の人がオリオン座の配置を模して

神社を配置したのか…。

まさかな!

いにしえの地図と3つ星

数日後、そうだ昔の地図はどうなっているのだろう?

と思って調べてみることにした。

今ではスマホの中にいろいろなアプリがある。

そこで、「大江戸今昔めぐり」というアプリを

開いて、練馬区の当たりの古い地図を調べてみた。

幸い練馬区あたりまでは古い地図を見ることができた。

(場所によってはないところもある)

上の地図で ⛩ のマークが昔からある神社である。

下が「田中稲荷神社」、上が「中村八幡神社」である。

一番上が乗ってないが、御嶽神社もあるのだろう。

よく見ると、この3つの神社は旧道に沿って

建っているではないか!

 

今、現在みると不自然な配置の神社なのだが

な~んだ、道に沿って建てられていたのか!

区画整理のために、昔の道路の面影もないが、

神社の位置だけはしっかり残っていたということになる。

 

そう考えると、神社っていうのは

基本的にはあまり移動のしない建物なのだろう。

やむを得ず移動する場合は、

きっと、神様に理由を陳べ、儀式を行って

移動したり、合祀したりするのだろう。

たしかに、やたらめったに神社を移動させたら

中に祀っている神様もいい気分ではない。

無理やり移動させたら神罰があたるかも知れない、

そんなこんなで神社は基本的には

場所を変えにくい建物であり、

調べれば何かと謂れのある場所なのだろう。

 

コンビニや歯医者より多いと言われる神社。

そうすると、このような星座と、

奇妙に位置が合致する神社があってもおかしくない。

そういえば、埼玉の3つ星に並んだ神社も有名だ。

武蔵一宮氷川神社、中山神社(中氷川神社)、氷川女體神社

これもなぜか北西のラインに沿って

綺麗に等距離で並んでいるのである。

他にも探せば、いろいろと出てくるかも知れない。

いにしえの星座

ここで、ふと思った。

いやまてよ! 昔の人はオリオン座と

言っていたのだろうか?

そうだ、そうなのだ。

オリオン座というのは西洋の星座じゃないか。

そうすると昔の日本人は、空の星を見て

星座を知っていたのだろうか、という根本的な

疑問が出てきた。

調べてみると、なんと明治以前は、

中国から伝わった星座(中国星座)で判断していた

ということが分かった。

飛鳥時代に伝わり、

「キトラ古墳」や「高松塚古墳」に描かれていた

天文図は、中国星座だったのだ。

江戸時代は、中国星座を渋川春海とその子昔尹が

分かりやすいように手を加えた星図『天文成象』が

日本では天文図の元になっていたらしい。

 

だから江戸時代以前は、オリオン座とは

呼ばなかったのだ。

3つ星が皷(つづみ)を持つところ、

4つの形がつづみなので、

皷(つづみ)星と呼ばれていたのだ。

重要な3つ星

皷星、この3つ星は、

ちょうど真東から上り

真西に沈むことから

昔から位置を知る上で

重要な星と捉えられていたのだ。

航海をするときは

この3つ星を見れば、位置が分かるのだ。

だから、いにしえの人にとっては大事な星。

方向が分からなくなるということは

命を失うことになるかも知れないのだ。

だから、それが神様の名前になったのかも知れない。

 

表筒男命(うわつつのおのみこと)

中筒男命(なかつつのおのみこと)

底筒男命(そこつつのおのみこと)

そう、

住吉神社で祀られている住吉三神(すみよしさんじん)

である。

航海の神を祀るという神社だ。

一番最初に水平線に現れる星が表筒男命、

次に現れるのが中筒男命

最後に現れるのが底筒男命

 

3つ星は

神様になっても不思議でない。

まとめにならないまとめ

練馬のオリオン、神社めぐりで

見つけた一直線に並ぶ神社を

見つけたのだが、

結局、なぞと言うことではなく

旧道に沿って作られた神社でした。

(古地図を見ながら散策すると楽しめる)

オリオンにまつわる

3つの星は、皷星(つづみぼし)と呼ばれ

昔から人々に

注目される大事な星であった。

(3つ並ぶと人はなぜか惹かれる)

 

今日は3つに神社から3つに並ぶ星

関係する雑談でした。

ここまで読んでくれた方

ありがとうございました。

トップ画像へ

練馬区三神社近辺の地図: