柳戸・六所神社の狛犬
今回の絵の題材は、
千葉県柏市柳戸(やなぎと)にある
六所神社(ろくしょじんじゃ)の狛犬さんである。
手賀沼の南側を走る国道282号線沿いに
集落がいくつかあるが、その中のひとつ。
村奥の山の中にある。
グーグル・マップで見てもこの神社、
コメント数が1つなので、
あまり人が訪れることのない場所なのかもしれない。
僕が訪れたときは、祝日でありながら
参拝者は誰もいない緑に囲まれた静かな場所だった。
道の駅「しょうなん」にて車中泊
2022年の2月の天皇誕生日の前日の夜、
僕は千葉県の手賀沼脇にある
道の駅「しょうなん」を目指して車を飛ばした。
その頃、Twitter友達が手賀沼の写真を
Twitterに乗せていて、見ながら、
こちらのほうには行ったことないな、
湖を見たいな、一度行ってみたいな、と思ったのだ。
翌日が休みだということを利用して
夜、9時過ぎに車に乗り出掛けた。
夜の「しょうなん」は意外と混んでいて
数カ所しか開いていない場所をやっと探して
いくぶん慣れてきた車中泊をすることにした。
柳戸・六所神社へ
朝早く目覚めると
近辺の神社まわりにさっそく出掛けた。
いくつか回ったが
けっこう独特の狛犬が見られ
面白い地域である。
それなりにあるということは、
このあたり人の多く通る場所だったのか…
調べてみると、この近辺は
水戸に通じる「水戸街道」がある。
ただ、水戸街道は手賀沼の北側を通るので
手賀沼の南側は街道を少し外れている。
水戸へ続く別ルートだったということだろうか。
街道沿いはけっこう狛犬が見られるが
ちょっと外れたこの地域に狛犬があるというのは、
とても興味深いものではある。
だがネットで調べてもこの辺りの情報は少ないのである。
今回絵にした柳戸六所神社の狛犬は
台座を見ると「万延元年(1860)1月吉日」と書かれている。
石工さんは残念ながら分からない。
トタン屋根とトタンで囲われたお社の前に
2段重ねの台座にこぢんまり座る阿吽の狛犬。
静かな神社の中にひっそりとたたずんでいるのだ。
しばらくこの狛犬の前で座って眺め、
スマホで写真を撮っていった。
六所神社情報 | |
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社号 | 六所神社(ろくしょじんじゃ) |
祭神 | 天照大御神、素戔嗚尊、伊弉諾尊、伊弉冉尊、蛭児尊、月夜見尊 |
境内社 | 天満宮、足尾山神、大杉大明神 |
住所 | 千葉県柏市柳戸411 |
祭日 | オビシャ1月7日、秋祭10月15日 |
その後、この界隈を散策してみて
分かったのは、
同じ石工さんが造ったのだろうという
狛犬がほかに2つあったのだ。
以下に記します。
兵主八幡両神社(ひょうしゅはちまんりょうじんじゃ)
ここの狛犬は大きな台座に乗った
大きな狛犬で、六所神社の狛犬と同じ顔型をしている。
大型なので、手足、胴も長いように見える。
背中にポツポツ背骨の出っ張りが見えるのが特徴である。
万延元年(1860)9月に奉納された狛犬さんである。
鷲野谷香取神社(わしのやかとりじんじゃ)
ここは拝殿の裏側に
離れてぽつんと建っている本殿がある。
小さな本殿はみごとな彫刻が施されているのだが、
その前に、阿吽の狛犬が接近して左右に置かれている。
小さな狛犬さんで
少し猫背気味。
阿吽とも正面に顔を向けて座っている。
年代は嘉永7年(1854)の奉納である。
柳戸八幡神社の狛犬より6年前に作られたものだ。
同じような作りである。
いずれの狛犬も共通するのは
鞠も子獅子もいない
シンプルに座った(蹲踞型[そんきょがた])形。
阿吽とも正面を向き(参拝者方面向き)。
まなこが丸っこく、流麗なたてがみを持ち、
両耳は左右に広がっている。
1860年頃に、この界隈で活躍していた
有名な石工なのだろう。
まだまだこの辺りを探ってみると、
同じ石工さんの狛犬が見つかるかもしれない。
六所神社の狛犬を描く
今回はサムホールの小さなキャンバスに
わりと平滑にモデリングペーストを塗り
乾燥したあと、上に
狛犬のデッサンをした。
それから買ってきた彫刻刀で
デッサンの線を彫ってみた。
前回、描いた「白髪白山神社」で
初めて彫刻刀と使ったが
その感触が意外と面白く
同じようなことをしてみたのだ。
線を彫って、その上から
絵の具を乗せると
絵の具が溝に垂れ込んでいく。
これは面白いや、と試してみた。
今回はデッサン風絵画といった感じだ。
どうだい、狛犬さん、今回の絵は?
絵の中の狛犬は、ニヤリと笑っている。
絵の学校に行ったわけではないので
自分の思った発想で描くしかない。
まだ、いろいろな描き方があるのだろうが
いろいろとトライしていこう。
興味は尽きないし、
まだまだ描き足りない、そう思うのであった。
題材の場所: