がま口狛犬さん

がま口狛犬さん
がま口狛犬さん(F8・キャンバス・ミクストメディア)

がま口狛犬さんと神社

今回の絵は、千葉県我孫子市湖北台にある

八幡神社の左側にいる狛犬の絵だ。

 

グーグルマップに載っている神社名は

「湖北台八幡神社」であった。

なので、描き上げてすぐにTwitterにアップしたときは、

「湖北台八幡の狛犬」として載せた。

ところが、「港北台八幡神社」と入力してグーグルで

検索すると「中峠八幡神社」と出てくる。

「中」に「峠(とうげ)」と書いてなんて読むのだ。

読み方を調べると、「なかびょう」と読むらしい。

中峠を調べてみると、現在は、我孫子市湖北台よりちょっと

北側の地域ということが分かった。

昔、中峠城のあった近辺らしい。

中峠の謂れは、Wikipediaの中峠城の項目、

名称部分に書いてあったのでそちらを参照してください。

「港北台(こほくだい)八幡神社」が正しいのか

「中峠(なかびょう)八幡神社」が正しいのか、よく分からないので

絵のタイトルは結局、地名を外して、この狛犬の特徴を表した

「がま口狛犬さん」とした。

八幡神社への参拝

2022年の春、金曜日の夜に車で出掛け、

手賀沼近くの「道の駅しょうなん」に真夜中に着き、

車中泊をした。ここは車中泊の車がいっぱいで

やっとスペースを見つけて停めることができた。

 

平日仕事をしている僕は

金曜日の夜に出掛け、現場近くの

車中泊できるところに停めて、寝て、起きてすぐ

行動することが多い。

都心の交通量多い区域から郊外にある

目的地に朝から行くには、とても時間がかかるので

神社回りを少しでも多くしたい僕としては、

都心近くの渋滞がとてもいやなのだ。

その点、夜に車を動かせば、

交通量が少ないので、目的地近くまでは

早い時間で行け、現地で朝からの活動ができ

言うことないのである。

(ただし、夜、見知らぬ場所に泊まるのは

 ひじょうに行きづらく危ないこともあるので、

 前もってグーグルとかで調べて、

 なるべく、分かりやすく、ひとけあって、

 トイレがしたくなっても

 すぐにトイレのできる場所を探しておくことは必要だ。

 いつか、車中泊について書いておく

 ことも必要かな、と思ったりして…)

 

朝早く起きて朝日をすぐに拝めることも

車中泊のいいところ。

しょうなんの朝日
道の駅「しょうなん」から見た朝日
手鹿沼の橋と白鳥
手鹿沼の橋と白鳥

手賀沼近辺を散策して

目的の「湖北台八幡神社」に向かった。

神社は小学校近くの普通の民家の中に

あった。(駐車場はない)

湖北台八幡神社全景
湖北台八幡神社全景
湖北台八幡神社全景
階段を登った湖北台八幡神社

民家より少し土を盛った箇所に

神社はあった。

階段を登るとすぐに神明鳥居があるが

そのすぐ脇に台に載った狛犬がいた。

それは今まで見たことのない

大きな口を開けた狛犬さんだった。

湖北台八幡神社の阿形狛犬
湖北台八幡神社の右側の台にいる阿形狛犬

台に乗っている脚も、よくある蹲踞(そんきょ)型では

狛犬の蹲踞型とは
前足をのばして腰をおろした形。

なく、四つん這いだが、お顔と同じように

ひょうきんな足使い、なんとなく

ステップを踏んでいるようなカッコウなのである。

「こりゃ、面白いや」と

僕は夢中になって写真を撮った。

 

よく見ると右側の阿形の方が、オスのようである。

左側の吽形(といっても少し口は開いている)はメス。

どちらも後ろのヒップ側に回ってみると

オスメスの象徴らしきものが股間に見える。

吽形のお尻から見た写真。
吽形のお尻から見た写真。

また、メス側の足元には、本来、子獅子がいたのだろう。

台座に小さな脚先が残っていた。

吽形の台座の足あと。
吽形の台座。子獅子があったであろう足先が4つ残っている。

おそらく子獅子もひょうきんな格好をして

ステップを踏んでいたのかも知れない。

しかし何かのはずみで、

脚が折られ、どこかに置かれたのか、紛失したのだろう。

今は、お腹の下は広く空いている。

 

誰がこの狛犬さんを彫ったのか、

台を見ると、

「中峠下区 石工 森田定治」をいう名が

刻んでいた。昭和8年霜月15日に奉納されている。

台座の文字
台座の文字

森田定治という名を検索すると、

「石の褥」と書いた九州作家さんが出てくるが

これは違うだろう。

狛研関係の石定(森田定治)さんという方も出てきた。

石工さんなので同じ人なのか?

中峠下区の石工、この神社の近くの方が彫られているので

違うのか? 同姓同名なのか?

よく分からない。

 

とにかく、この狛犬を彫った方は

とてもユニークな彫師なんだろう。

多く見られる岡崎型でもなく、

近辺にある江戸尾流れ型でもなく、

独特のお顔とフォームを造形しているのである。

これを絵にしたいな、そう思った。

湖北台八幡神社(=中峠八幡神社)

祭神 誉田別命、速須佐之男命

由緒:中峠八幡神社の創建年代は不詳ながら、康平年間に八幡太郎義家が奥州征伐の際当地二本榎に宿営、そのあとに「八幡大菩薩」と書かれた白旗がのこされているのを奉斎して創祀したといいます。天文10年(1541)芝原城主となった河村出羽守は、当社を居城の鎮守としたといい、江戸時代には村の鎮守社だったといいます。

がま口狛犬さんを描く

前回描いた「菅原の狛牛」と同じように

今回もアクリルだけでなく

やらパステルなどを使って

描いてみた。

菅原の狛牛

パステルは粉状なので

そのままではすぐに色が剥落してしまう。

なので、アクリルで描いた絵の上に

粉状にしてばらまき、ところどころ

指で均したり、伸ばしたり、して

いいと思ったところでフィクサチーフ(定着液)

スプレーするのだ。

アクリルだけの絵だと、どうも発色の弱さを

感じてしまうので、補う意味で最近使うようにした。

僕の絵は、基本、下地が凸凹でゴツゴツなので、

凹面の中に色の粒子が紛れていく。

(今回の絵はとくにゴツゴツしているな…)

この色がいいかな、いや、

この色がいいかな、と思いながら

削ったパステルを散らしていく。

とても感覚的なものだ。

「ここでいいぞ!」と感じると

フィクサチーフを拭きかけていく。

フィクサチーフをかけた後で、また

色味が変わってくるが、

なっとくがいかないと、

何度も何度も同じように繰り返す。

そして、また、その上に、

アクリルを加筆したり、

削ったり、試行錯誤するのである。

止め時が難しいのである。

 

筆を置くタイミング。

それは、脳の奥にビビッと来た時が止め時なのだが

めったにやってこない。

ビビッと来る時、

それは、短時間で来る時もあれば

長いことこねくり回して疲れ果てた時に

来ることもある。

いつも短時間でくればいいのだが…。

そういうわけにいかない。

 

絵になった「がま口狛犬さん」は

僕を見て、

にゃはは、と笑うのある。

まだまだ、先は長いねぇ、と言っているのだろう…。

 

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題材の場所:今回絵を描くにあたって再度再訪しました。