横瀬の狛さん

横瀬八幡神社の吽形狛犬
横瀬八幡神社の吽形狛犬(サムホール・キャンバス・アクリルほか)

横瀬八幡の吽形狛さん

今回の絵は、2022年の秋に伊豆に行ったときの

狛犬さんだ。

以前、天城神社の独特な狛犬さんを描いたが

今回は同じ時期に作られた変わった狛犬さん。

こちらは台座には『奉納宝暦十三年十一月吉日』とあるので

1757年に奉納された狛さん。

天城神社より2年古い狛犬となる。

足元の台座に彫られている奉納年。
天城狛犬

神社の階段を登って初めて見た印象は

思いのほか大きくて白っぽい、と思った。

横瀬八幡神社の全景
414号線沿いにある横瀬八幡神社。駐車場はない。
階段を登るとさらに先に階段がある。
階段を登ると現れる拝殿。その前に2匹のカエル、ちがった狛犬が鎮座している。

形状は、カエルのような格好

ナマズのようなお顔の「はじめ狛犬」

多く神社で見る厳つい狛犬さんとはまるで異なるのだ。

太い眉毛、離れた眼、ひしゃげたお鼻。

参拝者に睨みをきかすということではなく、

見れば思わず微笑んでしまうくらいの

ゆるいお顔なのだ。

狛犬ファンの中では結構、有名な狛犬さんである。

この狛犬さんを見るためにわざわざ

参拝に訪れている人も多いらしい。

もちろん、その中の1人である私も、この狛犬を

やっと目の前にしてとてもウキウキとした。

 

形状は「はじめ狛犬型」という狛犬初期型だが

多くの「はじめ狛犬」は

そんなに大きくはなく、だいたいが両手で

持ち上げられるような中型犬くらいまでの大きさなのだ。

だが、この狛犬はセントバーナードくらいの大きさで

両手では抱えられないくらいの大きさなのだ。

天城神社の狛犬さんは、

両手で抱えられるくらいの大きさである。

だから、第一印象は、えー、大きいじゃない!と思ったのだ。

意外と保存状態もよく

嬉しくなって何度もなんどもあちこちを

眺め回し写真を撮った。

 

伊豆のはじめ狛犬

伊豆の狛犬をぜんぶ隈なく見たわけではないけれど

天城神社の狛犬とこの横瀬八幡神社の狛犬は

微妙に似ている。

ところが近辺ではあまり似たような狛犬は見当たらないのだ。

制作年代は2年しか違わないということは

どういうことか?

こま研の圓丈さんの文章を読む

1)同一人物の作 2)模倣

1)2)のどちらかになるだろうと書いてある。

また、天城神社に置かれていた看板を読むと

最後のほうに「同じ石工の作と思われる狛犬」と

書かれている。

問題は、思われる、という推測の文。

結局断定はされていないのだ。

 

見るにどちらもカエル姿の

ブサイお顔で、口元はおおきく、

耳元近くまで裂かれている。

そして歯並びは細かく

上下に犬歯があるのだ。

どう考えてもこのようなユニークな造形は

とても別人が作るとは考えられない。

僕が思うにも同一人物か、同じ工房にいた人とは

なるだろう。

横瀬八幡神社・吽形の横姿。
横瀬八幡神社・吽形の横姿。
横瀬八幡神社・吽形顔部分アップ
横瀬八幡神社・吽形顔部分アップ

今回はサムホールにキャンバスにちょこっと

描いた作品である。

ブサカワ狛犬さん、描かせていただきましてありがとう。

「ん、おら、そんな顔じゃね~よ。

下手に描くんだったらよこせ(横瀬)よ」

と言ったような…。

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