鳥居の見える風景、黄色い空
今回の絵は、羽生市にある
白山神社を題材にしたが
僕の頭の中にあるイメージを
重ね合わせて描いた絵である。
実際の現場は
広大な畑の中にぽつんと鳥居があり
遠くに町並みが微かに見える風景なのだ。
着いたときは空は青く澄んでいた。
描きはじめの頃は、空部分を
青や緑あたりの絵の具を置いていたのだが、
なんか違うな…、と試行錯誤したうえで
だんだん黄色い色を載せたくなり
このような空になっていった。
遠くに見える町並みも
町よりも山のほうがいいなあ…となり
絵のようなイメージとなっていった。
写真と違って絵の良いところは
このように自由に色や風景を変えられると
いうことだ。
色については色覚異常である以上、
はなっから、その通りに色をのせることは
僕には無理なのだ。
小学生4年の時だったか、
クラスの前で色覚検査の図柄を読み
みんなと違う読みをして
笑われた記憶がある。
そのときは、「あれれ、そうなの…」
と自分自身を笑って
その場と取り繕っていた気がするが、
だんだんと大きくなるにつれ
「僕はみんなと見る世界が異なるのだ」と、
思うようになってしまった。
目の前の物を、その通りの色で
再現させることは一生できないのだ。
美術修復師という素晴らしい仕事があるが
なりたくてもとうていなれない。
同じ色を再現させることのできない僕には
けっしてなれる世界ではないのだ。
あたたかい陽射しのもと、
ぽつんと建つ鳥居、
そのような風景が好きなのだ。
実際にある風景を描きながら、
僕は心象風景を描いている。
僕の描く絵はそういう絵なのである。
白山神社への誘い
2021年の2月13日の土曜、
僕は須影八幡神社の狛犬を見に行った。
その日は、利根川沿いの羽生市を中心に
神社回りをして、遅くなったので
昭和橋という橋を渡って
館林近辺のビジネスホテルに泊まった。
ホテルで地震に遭う
日の暮れる前にスマホで検索して
安そうな宿を見つけて押さえていたのだ。
この日をなぜはっきり覚えているかと言えば、
それは、泊まったビジネスホテルで
夜中に地震に遭ったからだ。
その日、動き回って疲れた体を
風呂に入って癒やし、
ベッドの上で今日回った神社を
アプリに落とし込み一息していた夜11時過ぎだった。
いきなり鉄筋の建物がグラグラ揺れはじめて、
しばらく揺れ続けて、しまいには点いていた
部屋の照明がプツンと切れてしまったのである。
一瞬真っ暗になったが、
幸い部屋の非常灯がついて動くことができた。
慌ててドアを開けて、回りのようすを伺った。
(あとで思ったが、このようなときはすぐに
ドアを開けたほうがいい。地震で歪んで
開かなくなることもあるからね)
地震が収まって、
2階にいた僕は、1階のフロントに行った。
暗い中にホテルのオーナーがいた。
懐中電灯か何かを探していたのだ。
オーナーの話によると、非常灯も
補助バッテリーで点いてはいるが、
いずれ1,2時間で電気が切れてしまうだろう、
とのことだった。
結局、照明もテレビも点かないので
部屋に戻っておとなしくベッドに横になることにした。
カーテンを開けて
窓から風景を眺めたが、あたり一帯がまっくらで
畑も建物も見えなかった。
見えるのは夜の空だけだった。
幸い朝には電気が点くようになっていたが
思いもよらない宿泊になったのだった。
今回の教訓は、
ホテルや旅館に泊まったときは、
必ず、非常口やら、懐中電灯の位置など確認して
おかないといけない、ということだ。
話がそれたが、
白山神社。
昭和橋の近く、利根川沿いの
畑の中にぽつんとある神社。
鳥居や拝殿は
作り変えられたのだろう、
新しかったが
拝殿前の狛犬は古い狛犬が置かれていた。
今回の題材となった神社である。
こういう有名ではないが
地域で大事にされている神社、
ぽつんと立っている鳥居をみると
僕は魅(ひ)かれてしまうのだ。
(今回は実風景ではないのでMAPはついておりません)