御嶽神社の狛犬
今回の絵、だいぶ前に出来上がって
ツイッターでアップしていましたが、
いつもと描く傾向が違うので
このホームページに載せるのはちょっと躊躇していました。
ところが、「狛犬 絵画」で画像検索すると
この画像が出てくるではありませんか。
ネットの世界ってよく分からない。
それなりに上位のほうに出てくるということは
クリックする人は多いのだろうか?
関心がなければクリックされることはない、
はるか闇の中に埋もれてしまうのだろう…
かと言って、上位にあるからといって
いい作品があるわけでもなし…。
とにかく、この狛犬には、
ある思い入れがあるし、検索から外れる前に
記しておこうと思った。
御嶽神社への参拝と龍雲
埼玉のさいたま市桜区にある
この御嶽神社(おんたけじんじゃ)に着いたのは
2020年の成人式あたりのころだった。
訪問時期をよく覚えているのは、
それなりの理由がある。
それは、その年の正月、
叔父さんが亡くなったということで
初めて、その息子さんのお家に訪問し、
仏壇にお参りした1週間後のことだったからだ。
ここの神社に着いた頃は、
夕方近くになっていた。
まず、石で出来た一の鳥居をくぐり
参道を進んだ。
赤い二の鳥居の前に来る。
両脇には岡崎現代型の狛犬さんが座っていた。
さらに進むと突き当りが左に90°折れていた。
その曲がってすぐのところに三の鳥居がある。
そしてその鳥居の前に
雷鳥の狛像が立っていた。
最初、鶴かと思ったらあとで雷鳥ということ知った。
さらにその雷鳥の脇に
目を引く狛犬が立っていた。
金ピカピカピカなのである。
型は、岡崎現代型の狛犬さんだが
ここまで全身に色を塗りつけられたのも珍しい。
石の狛犬に着色されているものは
基本的に好きではないのだが、
ここまで派手に塗りたくっていると
逆に振り切った潔さを感じて
気になる狛犬となってしまった。
黄金の狛犬のまわりを
ぐるぐると見つめていると
ふと、そのとき空に目が止まったのだった。
あれ!?
あそこの空に雲が…
かたまった雲を見つめていると
しだいに龍のような頭のようになっていったのだ。
龍雲というのは、写真では
何度となく見てきているが、
実際は見たことがなかった。
そのときまでは…。
なんと、それは、
角をつけ、目をつけ
口元をひらいた龍が
右の方を向いて
頭の部分だけが
漂っていたのである。
しばらく僕は茫然として
眺めていた。
10分ぐらいだったか…。
龍の頭は南西の空、45°先の空に
漂っていたが、しだいに
形が崩れていき、消え去って
いったのだった。
鳥肌が立っていた。
余韻にふけって、三の鳥居を潜り、
拝殿前に来た。
派手に装飾がされた拝殿の前に来て立ち止まった。
賽銭を投げ、柏手を打ち
ちょっと上を見上げて
突然、また鳥肌が立ったのだった。
なんと、そこには
大きな白い龍の彫り物が
天井がらぶら下がっており、
龍の顔はこちらを見つめていたからだった。
そしてその時、僕は思ったのだった。
これは叔父さんからのメッセージかも…
なぜなら、叔父さんの名前は
「りゅうちゃん」と呼ばれていたのだ。
小さい頃、家族で上京したときに
叔父さんは後楽園に連れて行ってもらって
一緒に遊んだ記憶がある。
あのとき買ってもらった、笛の中に入っていた
ハッカ砂糖の味が忘れられない。
今は売っているのだろうか…
それから数度しか会ったことがないが、
せめて、体調を悪くしていた頃
一度でも顔を合わせていたら…と
いまさらながら思った。
正月、叔父さんの息子さんに
初めて会って、仏壇にお供えして
焼香した。
息子さんと奥さん、初めての出会いで
初めての焼香だった。
龍雲が現れたのは、そのときの
礼を言いにきたのかもしれない…
そう思った。
黄金の狛犬
岡崎型の狛犬は
そんなに描きたい意欲は沸かないのだが
この狛犬には、前述のような思いも加わって
筆をとることにした。
ただ最初に描いたデッサンが
いまいちこぢんまりしすぎて
気に入らなくなったので
しばらく置いていた。
数ヶ月後、取り出して
もう一度描いた上から
デッサンし直して
狛犬を少し大きめに描き直し、
塗り重ねていった。
だから、相変わらず絵の表面は
ゴテゴテしている。
背景は、最初単色で塗り込んでいたが、
いまいちだと思って、いろいろ塗り込んでいたが、
最後にプラチナホワイトのメタルという
絵の具を塗り込んだ。
この絵具、当初、
ホワイトを買うつもりで買ったもの。
なぜ買ったかと言うと
このチューブにバーゲン価格のシールが貼ってあったからだ。
フタが壊れているので安く提供します、と。
フタなんで、欠けていても一向にかまわない、
絵の具を塗れればいいじゃん、と思わず買ったのだった。
そして、ホワイトを塗ろうとして描いたら
なんと、乾いたあとにピカピカと光る絵の具だったのだ。
こりゃ、塗る時がいまいち限られてしまうな、と思っていたが、
ちょうどこの題材にいいかもということで
ためしに背景に塗りたくっていった。
適度な光沢でいい感じ。でも、ベタ塗りでは寂しいので、
なんか模様を描こうと、描いたら
結局、唐草模様になってしまったのだった。
狛犬の毛の流れも渦を巻いているし
こうかなあ、と思いながら
無意識に描いたらこのようになってしまった。
いつも描いている絵の背景と
まったく異なる仕様になってしまった。
だから、いままでここに載せようとは思わなかったのだ。
これは叔父さんへ捧げる
狛犬さんである。
題材の場所: