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月夜の守り人

月夜の守り人
月夜の守り人(サムホール・キャンバス・油絵)

月夜の守り人

今回は頭の中で想像した狛犬を描いた。

神社に参拝し狛犬を見て(または参考にして)描くのではなく、

頭の中にあるイメージを膨らませて、

それを元に構成して筆を走らせていった。

動機は「狛犬が月を見上げている絵を描きたい」…

そういう思いが生じたからである。

一度、軽く紙にデッサンしてそれを元に

キャンバスに描いてみた。

移り変わる狛犬絵の姿勢

狛犬の絵を描き始めた当初、2019年5月頃だったか、

その頃、僕はとにかく狛犬の実際の再現性

重視して描いていた。

というのも、その頃、ネットで調べても

だいたい2つのパターンしか無かったのだ。

一つは、

完全に作家さんの想像もしくは創作した狛犬。

もう一つは、

岡崎型狛犬の絵である。

作家さんの創作狛犬は、それはその人しか

作り得ない狛犬なのでそれはそれでいい。

だが、もう一つの

写生した狛犬の絵、風景の中の狛犬は、

ほとんどが岡崎型狛犬だったのだ。

岡崎型・吽形蹲踞

おそらく画家さんや、風景をよく描く人が

狛犬を題材にするとしたら、

ライオンのようなたてがみ、するどい眼の

凛々しい岡崎型が目に付くのであろう。

また、実際、近所の神社に座っている狛犬が

岡崎型だったりすることが多いのだろう。

尾流れの狛犬や、角の生えた狛犬、

宝珠の乗せた狛犬、犬みたいな狛犬など、

描いている人はほとんどいなかった。

だから、狛犬を描き始めた当初は、

岡崎型以外のも、素敵な狛犬があるんだよ、

という思いもあって割と元の狛犬を忠実に

描き起こしていたつもりである。

(といっても、超リアルの絵画は色覚異常の僕では

描けるわけでもない…色の再現力が無いので…)

小野照崎神社・阿形狛犬
御神木の下の狛犬

 

だが、最近は再現させるだけ、それでいいのか…

と考えるようになった。

数年の間にいろいろな狛犬を見てきたからかも知れない。

また、この4,5年の間に、岡崎型の絵だけではなく

いろいろな姿形の狛犬をネットで見るようになった。

少しずつ狛犬愛好家も増え、いろいろな形の狛犬がある

とのことが認識されてきたのかも知れない。

(相変わらず、知り合いと話すと、えっ、狛犬って

みんな同じ格好じゃないの? という人もいるが…)

 

絵を描き始めた当初は、描くことが楽しくて

絵に対する悩みなど考えたことがなかったが、

描き続けていくと、また、そこに悩みや苦悩が

生じるのだなぁ、と思う。だが、それは逆に言えば、

新しい何かをつかもうともがき苦しんでいること

なのだろう。

 

ということで、今後は写実的な狛犬絵や風景を描いていく

こともあるが、テーマを主題にした絵や、

想像巡らせた絵なども描いていこうかなどと思っている。

悩むこと、それは、生きていることの証なんだろう。

楽しみながら悩んでいこう。

 

月を眺めて思いにふける狛犬は僕自身の姿かも知れない…。