茨城県久慈郡大子町(だいごまち)の狛犬
2022年の5月の連休、茨城県の御岩神社に行った。
向井千秋さんが宇宙船からみたら
御岩神社あたりから光の柱が見えた、と言われる
ことで全国的にも有名になったところである。
とても素晴らしい神社で、
ここだけで一つの記事が十分に書けるが
それは別の機会に記すとして
その参拝後に向かったのが、茨城県の北西部の
大子町(だいごまち)である。
なぜ、こちらに向かったのかというと
もちろん狛犬なのである。
下調べするとこちらの方面に、結構、
面白い狛犬さんがいることが分かったからだ。
その第一候補が二荒神社(にこうじんじゃ)である。
ふたあら、と読むのかとおもったら、
にこう、であった。
以前にも記したが狛犬のあるところは
結構、集中して存在する。
ないところは、ほんとない。
大子町は狛犬ファンにとっては
とても魅力的な町といえるのだ。
二荒神社はどこだ?
道の駅「奥久慈だいご」にいったん
車をとめて休憩して向かうことにした。
Google Mapsを見ると、二荒神社は、道の駅の東側にある。
残念ながらGoogle Mapsも車についているナビも
地方の地図は大雑把にしか記していなくて
神社への道が分からないのだ。
とくに、目的地であるこの神社は山の中にある。
そういった場合は、近くの道までは分かるのだが
参道への道がのってなく自力で探すしかないのだ。
(教訓:Google Mapsは地方は詳しくない(~_~;))
道の駅に車を停めて、神社へ続く道はあるのかと
裏山を見渡してもどこにも見当たらない。
そこで道の駅にいた地元らしきおじさんに
この近くに神社がないか聞いてみた。
「そうだね。そこ(道の駅)の階段を降りて
ずっと行けばあったと思うがね」ということで
てくてくと山裾沿いを歩いていった。
ところが普通の家やらアパート見えるだけで
神社らしきものは見える気配もない。
アパートでおばさんたちが立ち話をしていたので
話が終わるのを待って聞いた。
「この家の脇をいったらあるよ」とのこと。
また、脇道をてくてくと歩いて行くと
なにやら、コンクリートで出来た
大きな観音様が見えた。
足元には「安産子安地蔵尊」と書かれている。
見上げて両手を合わせてから写真を撮る。
「これが、まさか、神社ではないよ…」
勘違いしたのだろうか。
しかし、神社らしきものは
ぐるぐるあたりを回ってみたが、
いっこうに見える気配はないのだった。
(教訓:地元でも聞いた人によっては分からないことがある(T_T))
結局、また、道の駅にもどって、他に道があるのかと、
車を出して周りの道を探って見ることにした。
道の駅の右側に道がある。ずっと神社がないか
走っていると久慈川につきあたり、
ぐるぐる回って、またまた、道の駅に舞い戻ってしまった。
ええ! どこなんだ! くやしい。
これはこの神社に縁がないのか…。
諦めがつかず、仕方なくもう一度ゆっくりと
車を運転してみた。
二荒神社に行く辺りに奥へ行く道がある。
その近くに2台ほど停めるスペースがあったので
民家の壁沿いに停めて、道を探ってみた。
すると民家に囲まれた道の先は袋小路であった。
この方面にあるはずなのだが、道がないではないか。
とぼとぼと車まで戻って、
逆方向にちょっと足を進めると
なんと社号標が見えた。
しかし、上の方は文字が欠けていて
近くでよく見ないと分からない文字。
よく見ると〇荒神社、と読める。
これじゃ、走っている車からじゃ
見えないよ~。
標石の隣には「のぼり旗ポール」が見えた。
ここだったのか!
この細い坂道が神社の入り口だったのか!
この神社を探すのに
1時間半ぐらいはかかってしまった。
(ひと言:会いたいほど会えない…)
坂道を登り始めると、向こうから
女の人2人降りて来ているところだった。
「あの、この先に神社があるんですか?」
「そうですよ。この先ずっと歩いたらありますよ」
話を聞いてみると、入り口近くの
住人の親と娘さんだった。
この時期は筍(たけのこ)が
すぐに育って、いくつかを潰しにきたとのことだった。
いっぱい育っても困るので間引いているそうだ。
参道途中に生えている筍をみると
5,60cmくらいの筍がいくつか根本から
切られ横倒しになっているのが何本かあった。
筍として食べれないのかな、と思いながら
しばらく歩いていると拝殿が見えてきた。
二荒神社(にこうじんじゃ)の狛犬
荒いコンクリートの道を登り
しばらく歩いていくと
小高い丘が見えその中央に
狭い階段が見えた。
「これは雰囲気あるなあ」
なんか、ゾクゾク感が凄い。
ゆっくりと階段を踏みしめて
登っていった。すると、
登りきった境内の手前、
石灯籠の近くに狛犬が座っていた。
「こ、これだ!」
まさしく「はじめ狛犬」だ。
目の前に現れた独特の形状の
かわいらしい狛犬を見て僕はしびれてしまった。
それと同時に、苦労してたどり着き
やっと会えた喜びになぜか鳥肌が立っていた。
台座をぐるぐると見回したが
製作年代も石工の名前も分からない。残念!
でも、懸命に狛犬を彫っている石工さんの姿が想像できた。
写真を撮りながら僕は感動に浸っていた。
「いいよ、いいよ、とってもいい」
呟きながらスマホの写真を撮った。
撮り終えると拝殿に向かって参拝した。
深い森の中にあって静か。参拝客は僕以外誰もいなかった。
とても心地いい風が頬を通り過ぎていった。
いつか描いてみよう。
そのとき思った。
二荒神社の狛犬を描く
5月の半ば、僕はまたキャンバスに向かった。
阿吽どちらともかわいいので
どちらも描きたい。ということで
2体を組み合わせて描くことにした。
絵の構成で対象を2つを描くのはとても難しい。
1つや3つのほうがバランスを取りやすいのだ。
2つというのは同じ比重になると
面白みがない。組み合わせが難しいのだ。
でも、2体を描きたい。
あれやこれやキャンバスの中に2体を配置して
苦悩のうえ、今回の絵のようになりました。
5月に一応描き終えたのだが、
いまいちなっとくいかず、
2,3日前にちょっと色を加えて
終わりにした。
はじめ狛犬を描かせていただいた
二荒神社の狛犬さん、ありがとう。
題材の場所:
石でできた参道狛犬が作られ始めたのは江戸中期の頃。
その頃、狛犬という造形をよく知らない石工たちが、
伝聞や自分の想像をめぐらして彫りはじめた。
だから技術的には稚拙であるが個性的で素朴で味のある狛犬が多い。