「待つ」

待つ
「待つ」(サムホール・キャンバス・アクリル)

小野照崎神社の狛犬

小野照崎神社については

以前の記事で書いたのでそちらを

参考にしてください。

小野照崎神社・阿形狛犬

人気の神社の狛犬さん。

前回は阿形の狛犬さん(向かって右側に座っている)を

描いたが、今度は

吽形の狛犬さんを描いてみた。

今回は小さめなサムホールのキャンバスである。

( 22.7× 15.8cmのサイズ)

 

ここの狛犬さん、明和元年(1764年)

作られたというのに、保存状態がよく

江戸流れ尾の先駆けとなった狛犬

重厚な作りで、毛並みが流麗で

素晴らしいのだ。

吽形の口を閉じたほうも、気に入っていたので

いつかは描いてみたいと思っていた。

やっと描くことができました。

待つ狛犬

拝殿の左側、

大きなイチョウの木の真裏に

この吽形狛犬さんがいる。

頭にはちゃんと角が付いている。

だから、本来の狛犬さんである。

小野照崎神社・拝殿
小野照崎神社・拝殿。左のイチョウの木の裏に吽形狛犬さんがいる。
狛犬ミニ知識

阿形(あぎょう)狛犬……口を開けた像は、「獅子」と言われている。

吽形(うんぎょう)狛犬…口を閉じた像は、「狛犬」で角をつけている。

本来、左側の角をつけているほうを「狛犬(こまいぬ)」と呼び、

右側の角のないほうを「獅子(しし)」と呼んでいた。

最近は両方とも角がないタイプの狛犬が増え、

両方を指して「狛犬」と呼ぶようになってきている。

阿吽逆位置のもある。

 

今回は、狛犬を描く前に、サムホール

キャンバスにいろいろな色を下地につけ、

乾かしてから、作成に入った。

乾いたキャンバスに狛犬の形に切り取った

紙を貼り付け、そこにモデリングペーストを

塗りつけた。そしてまた乾くのを

待って着色をした。

下地で塗り込みした色はほとんど

消えてしまうが、絵画の奥行きを

出すためにそのようにした。

料理でいう、下味(したあじ)だ。

奥行きのある味を出すには

下味が必要なのか…と思って

今回は挑戦してみた。

だから、小さなサムホールでは

あるものの、意外と手間はかかっている。

 

ほとんど、下地の絵は消えて

しまってはいるが、その下地が

味を出すのだろうと思っている。

下に、狛犬を描く前のキャンバスの

写真をアップしておきます。

下地をつけたキャンバス
下地をつけたキャンバス。ほとんど隠れてしまう。

試行錯誤しながら、絵を描いていく。

絵の世界、奥は深いな、と

つくづく思うのであった。

 

今回の狛犬、石の台の上にじっと黙って

何かを待っているような格好だったので

タイトルは「待つ」にしました。

 

阿形の相方を描いていて、

「なんで俺を描かねえだ」だと僕の頭の中に

声が響いていたのだ。

これでひとまず胸を撫で下ろしました。

 

待っていたんだね……。

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