鎧宮八幡神社の狛犬

鎧宮八幡神社の狛犬
鎧宮八幡神社の狛犬(P6・キャンバス・アクリル)

岩槻区を散策

2021年の4月、僕は埼玉県の岩槻区

レンタサイクルで散走した。

岩槻区も昔、岩槻城があって岩槻宿のあったところだからか、

けっこう狛犬さんの出現率は高い。

いろいろ回ってきて思うことは、やはり

旧街道沿いの神社には、

多くの人が行き交ったのであろう、

優れた彫りの古い狛犬さんが見つかる。

ない地区に行くと、ほんとにいくら回っても

悲しいぐらいにない。

 

その点、この岩槻辺りは、いろいろな狛犬さんを

見つけることができる。

あと思うことは、比較的その地域に

共通する彫りの狛犬が見られるということ。

とうぜん、近郊の石材店から奉納されることが

多いので、同じ石工、その影響下の石工とかの作に

なることがある。

(時折、とても離れた場所にある場合もあり)

同じ石工の作が見つかったら、作られた年代を

調べてみると、だんだんと腕が上がっている様子を

見られたりするのも楽しい。

 

ここ鎧宮八幡神社(よろいみやはちまんじんじゃ)

に着いたのは、昼を過ぎて陽射しの強くなったころだった。

「江川第5公園」という

三角形の敷地をした公園の真ん中が

木々が茂っており、南側に神明鳥居があった。

鎧宮八幡神社の鳥居
鎧宮八幡神社の鳥居

鳥居をくぐると参道がまっすぐ伸び、

突き当りに拝殿が見える。

拝殿の前には、台座の上にのった

狛犬さんが左右に座っていた。

鎧宮八幡神社の拝殿
鎧宮八幡神社の拝殿

ここの狛犬さん、いろいろ見た中では、

少しスタイリッシュな造り。

両方ともに子獅子いて、

じゃれかたが、なんとも可愛いのだ。

鎧宮八幡神社・吽形
鎧宮八幡神社・吽形

吽形の子獅子は親の顔を見上げている格好。

鎧宮八幡神社・阿形狛犬
鎧宮八幡神社・阿形狛犬

阿形の子獅子は親の背中に

へばりつくようにくっついる。

「ぜったいに離さないからね」

と言っているようなかんじ。

表情も可愛く今回これを絵にしてみた。

 

それにしても「鎧宮(よろいみや)」と言う名の

神社名は珍しい。調べてみると、

岩槻城に立て籠もる北条方に対し、

豊臣秀吉方はここで鎧兜を整えてから出陣したと

伝えられていることから「鎧宮八幡神社」となったとのこと。

 

歴史の出来事が神社名に反映されているわけだ。

神社巡りをしていると、昔に思いを馳せ、

いきなりタイムスリップしたような感覚になることがある。

実際に、400年以上前、侍たちがここで鎧や兜を整えたのだと

思うとぞわぞわと身震いするのである。

 

そういう場所にある狛犬さん。

明治18年に奉納された狛犬であるが、

石工さんは不明だ。

親狛は少し顎を上げて空を見つめ、

「この子、だいじょうぶかしら。

ひとり立ちできるのかしら…」

そんなことを考えているようでもある。

(2021年、8月6日作画)

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