トーゴーの獅子(東郷神社)
今回の絵の題材は
東郷神社にある獅子。
今回、獅子と呼び
なぜ狛犬と呼ばないのか。
それは、狛犬のように
参道に置かれているのだが
狛犬ではないからだ。
東郷神社は原宿駅から降りて
5、6分もあれば徒歩でつく。
神社の参道は東側から
始まっているので
そちら側から行くと
原宿駅からは8、9分ぐらいは
かかるだろう。
東側の参道から上がってくると
歩行禁止とされた通れない参道がある。
この獅子は、その参道を進み
坂を登りきった左右に
配置されている。
初めて見たときは、
あまりのスタイリッシュさと
斬新さにびっくりしてしまった。
直線と曲線で
単純化したキュビズム的な
カッコいい像なのだ。
一瞬、メカゴジラを彷彿させる。
大正10年の作りというから
こちらの方が先輩だ。
東郷神社の参拝して
境内を歩き回っていると
分かるだろうが、
第二次大戦における潜水艦乗組員の
慰霊碑(昭和33年建立)の脇にも
もう一対(2体)、
このカクカクした獅子がいるのだ。
つまり4体いることになる。
ネットでも調べて見れば
詳しい人がつづっているが、
元は東京築地の海軍大学校の敷地
(現在の国立がんセンターの辺り)
に置かれていた
《有栖川宮威仁親王像》の
台座が戦争で壊れ、
1928(昭和3)年、伊東忠太の設計によって
新たな台座にこの4体の
獅子と一緒に置かれたのだ。
彫刻家新海(しんかい)竹太郎の
作りらしい。
発想が4体ということだから
2体で狛犬という
本来の狛犬の条件とは
はずれているのだ。
だからこれは狛犬というのではなく
獅子なのだろう。
この像、戦後の1984(昭和59)年に
有栖川宮威仁親王像の方は
福島県の「天鏡閣」に移設された。
のこされた4体の獅子は
どういういきさつか不明だが
東郷神社に配置されたのだ。
実際、東郷神社の拝殿
両脇には別の凛々しい
招魂型の狛犬が座っている。
この4体の獅子像、
圓丈さんは
「世界一のデフォルメ招魂社系狛犬」
と紹介していて、
狛犬ファンの間では
それなりに有名なのだ。
(圓丈さんは一応、獅子とは知っているが
分かりやすい呼称として狛犬と言っています)
なので、そのまま姿を描くだけでは
あまりに面白くない。
今回の題材は、
キュビズム的な要素があるので
画面を構成して
描くことにした。
左に全体像、
右に顔面を配置した。
別名、
「静謐なる決心」。
厳しい顔が
内なる心の
覚悟を表した、つもりだ。
どうだろうか。
(F15・キャンバス・アクリル)
題材の場所: