廻沢稲荷神社(めぐりさわいなりじんじゃ)
2020年の6月だった。
世田谷区の祖師ヶ谷大蔵駅近辺で
僕はレンタサイクルを借りて
神社回りをしていた。
空はどんより薄曇り。
曇天は狛犬愛好家にとっては
ちょうどいい天候だ。
直射日光では、光の当たるところと
当たらないところの差が出来すぎて
いい写真が撮れない。
雨では石肌が水分を吸って
普段の狛犬らしい肌合いでは
ないので写真にはいまいちだ。
祖師谷5丁目の神明社で
目玉のでかい面白い狛犬を見た後
廻沢の稲荷神社に向かった。
鳥居の前には
岡崎型の狛犬が台に乗っかっていた。
空には相変わらず雲がたちこめ
お日様の光は微かに揺らいでいるだけだった。
右側には口を閉じている狛犬。
左には口を開けている狛犬が配置されていた。
通常とは逆位置である。
コンクリートの参道両脇には木々が天に向かって
茂っていた。
歩みを進めていくと、
参道両脇に挟まれた空、
拝殿の上部が
にわかに明るくなってきた。
いままで曇っていた空が
突然、明るく光が差して来たのだ。
僕はしばらく参道に
立ち尽くした。
今回の絵は、
その時の一瞬の出来事の
風景である。
印象をたよりに
2日で仕上げた絵である。
題材の場所: