「月と狛犬」

月と狛犬
「月と狛犬」(P25、キャンバス、アクリル)

日本橋日枝神社(にほんばしひえじんじゃ)の狛犬

東京都内で顔を上に向けた狛犬は

そんなに多くはない。

数少ない仰向きの狛犬の中で

日本橋日枝神社(にほんばしひえじんじゃ)の狛犬は

とくに仰向く角度が大きく

天を仰いだ姿が印象的なのだ。

日本橋日枝神社入口
日本橋日枝神社の入口。両脇に高いビルが建っていて間を通る。

日本橋日枝神社に

参拝しに来た人、

とくに狛犬には関心を示さなかった方でさえ、

きっとここの狛犬には

目にとめるに違いない。

 

それだけ記憶に残る

印象的な狛犬なのだ。

日本橋日枝神社・狛犬
鳥居をくぐると天を見上げた狛犬を見ることになる。

狛犬を描いている僕は

ここの狛犬は外せないと

思っていた。

やっと、どうにか完成に

近づけることができた。

 

「月と狛犬」を描く

天を仰いでいる先には

何がある?

当然、誰もが考える

天にある「月」を

月並みだが、描いてみた。

 

最初、キャンバスに

月、そして、

この狛犬と背景にある

神社と御神木を描いていた。

ところが、

描いているうちに、

神社も御神木もいらない、

と、塗りつぶして

しまった。

銀杏の御神木と拝殿
狛犬の背後には、イチョウの御神木と拝殿が見える。

実際は、この狛犬の

背後には大きなイチョウの

御神木が見えるのだが。

 

「月と狛犬」だけに

絞ってみた。

 

まるで、萩原朔太郎の詩にある

「月に吠える」の

イメージだ。

 

高校のときに

詠んだ詩集「月に吠える」が

好きだった。

その影響もあるだろう。

この日本橋日枝神社の狛犬には

月がふさわしい、

そう思った。

 

空遠くに浮かぶ

月に向かって

想いを胸に見上げている

姿なのだ。

 


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